「アイムソーリー、ママ」 桐野夏生

読みかけの小説や、読もうと思っている小説はいっぱいあるんですけど、忙しかったり読む気がなかったり、なんだかんだと読むのに時間がかかってしまっていまして・・・。
でもほんとに面白い小説ってイッキ読みですね。
大好きな桐野夏生の新刊ってことで期待して読んだらやっぱりはまりまくりました。
「OUT」「グロテスク」「残虐記」・・・どれもイッキ読みです。
でもどれも救いがないし、読後はかならず気持ちが塞ぎます。
これでもかこれでもかと、醜悪な人間描写に吐き気すら覚えます。
腹黒な(?)私もビックリな黒い人間がいっぱい登場。
で、この「アイムソーリー、ママ」にもたくさんの黒い人物が登場してきます。
というかまず主人公が黒い!
人を騙し、盗みをし、殺し、逃げる。
しかもこの主人公は太った中年女でブサイク。(←ここがミソ)
こうゆう人物の描写が上手い桐野夏生って相当性格が悪いと思う。
でも「ヘドが出る」人物描写に納得したり共感したりしてる私はもっと性格悪いのかも・・・と悩む。
でも次回作が楽しみだな。
現在毎日新聞の夕刊で連載中の「魂萌え!」もいい!
殺人とかはないし、主人公たちは60歳過ぎのおばさん・おじさんですけど、やっぱり人物描写は桐野夏生にしか書けない独特の匂いを放ってます。
最近の宮部みゆきにはちょっと裏切られてるので、もう桐野夏生しか期待できる人はいないかも。
・・・と、色々書いたけど、私がいちばん好きで尊敬する作家は向田邦子ですから。黒い人物が出てくる黒い話ばかりが好きなワケじゃないですよーーー!(って誰に向かって言っている・・・?)

I'm sorry,mama.

I'm sorry,mama.

「アイムソーリー、ママ」は前半が特にイイ。後半少し失速か・・・。
終わりに至っては「え?これで終わり?ウッソー!」というかんじ。
それにいろいろな登場人物が出てくる割には「あれ?この人たいして重要じゃなかったんだ・・。」とか「もっと絡ませれば面白いのに。」と肩透かしをくう。
それでもエンターテイメント小説にはかわりなく、次へ次へとページをめくるのが楽しかった本。